きょうオーストラリア戦
〜 サッカーアジア杯準々決勝 〜
「サッカーアジア杯2007」がいよいよ決勝トーナメントに入った。
今日の夜、準々決勝で日本はオーストラリアと対戦する。
ドイツワールド杯で悪夢の大逆転を浴びたあの相手である。
あの試合が…あの逆転負けが…、日本代表にとっては全てであった。
ドイツワールド杯は、結局１勝もできないまま日本は予選で消えた。
あれから１年少し経った。
僕が去年６月に“一過性脳虚血発作”で病院へ運ばれたのが、そのドイツワールド杯の最中であった。発症した翌朝に日本・ブラジル戦があったことを記憶している。今から考えてみれば、連日、未明から起き出してＴＶ観戦をしたので、寝不足状態が続いたことが、病気の一因になっていたのかも知れない。僕にとっては踏んだり蹴ったりのワールド杯となり、そのすべての元凶が緒戦のオーストラリア戦であった。今日、再び両者が対決するのに、ＴＶでは去年のオーストラリアの逆転のゴールを再現したりしているが、絶対に見たくないシーンなのだ。嫌な映像を流すなよテレビ局！
世界の舞台では全く冴えない日本も、アジア杯は強い。
前々回、前回と、２連覇を遂げている。
特に３年前の前回は、日本代表は神がかり的な勝利を重ねた。
いまでもはっきり覚えている。
開催地は中国。日本に激しい敵意を抱く中国なのだ。
特に準決勝までの会場だった重慶では、観衆は日本選手が出てきただけでブーイング。君が代が流れると、それをかき消すように轟々と日本に非難のコールを浴びせる。紙くずを投げ込んだりもする。サポーター、というようなもんじゃない。サッカーもへったくれもなく、とにかく日本と聞くだけで汚らわしい、といった雰囲気なんである。だから、日本がどこの国のチームと戦っても、観客は相手チームに大声援を送る。審判まで相手有利の判定をする。こんちくしょう！ 絶対に優勝してやれぇ！ こいつらを見返してやれぃ！
そして迎えた準々決勝は、僕のサッカー興奮度が上限の100を超えて150ぐらいにヒートアップした凄まじい試合になった。相手はヨルダンだった。試合開始間もなく、日本はいきなり先制されたが、数分後に同点に追いついた。そのまま90分が終わり、延長戦も共に譲らずＰＫ戦に突入した。
ここで信じられない光景を見せられた。
ヨルダンは１本目、２本目を決めたのだが、日本は中村俊輔がいきなり失敗。なんと次の三都主も失敗したのだ。２本ずつ終えて２対０。万事休す…とあきらめかけたときに奇跡が起こった。
３本目は共に入れて３対１。ヨルダンがあと２人のうち１人が入れたら、日本は全部入れても及ばない。しかしヨルダンは２人とも失敗した。日本は２人とも成功。５本目を終えて３対３になった。だが、６本目、中澤が失敗した。頭を抱えてへたりこむ中澤。テレビの前の僕もへたりこむ。へたりこんで見た次のヨルダンのシュートは、今度はＧＫ川口が横っ飛びで阻み、戦いを振り出しに戻した。そして最後の７本目は宮本が決め、ヨルダンはまた外して４本連続失敗となり、日本が執念の準決勝進出を決めたのである。川口が何度も見せたスーパーセーブに、日本中が酔ったに違いない。
翌日から東京へ行き、３日後の夜に家に帰って大急ぎでテレビをつけたら、準決勝のバーレーン戦が前半を終了しており、ハーフタイムの光景が映し出されていた。日本が１対０でリードされていた。さらに、遠藤がレッドカードをもらって退場したという。何があったの…？？
日本は１人少ない数で後半を戦わなければならないという。遠藤の“ファール”は、ビデオで何度も繰り返し再生されていたが、相手とはほとんど接触しておらず、これが一発退場のレッドカードとは…なんとも不可解な判定であった。
しかし後半日本はがんばって、開始早々中田と玉田が連続ゴール。２対１と逆転。…と思ったら、24分に追いつかれ、40分に勝ち越されてしまう。３対２。う〜っ。なんで毎回こんなんだ。少しは落ち着いて観戦させてくれ。こんな試合を見ていると身体が持たない！
後半45分。土壇場で日本は追いついた。やれやれ。
そして延長になって玉田が決めて、それが決勝点になった。バンザイ。
寿命の縮まるような２試合を経て、決勝は地元中国とぶつかった。
当日の会場は厳戒態勢がとられ、在中国日本国大使館は、在留邦人に対して「サッカー・アジア杯の決勝戦に関連したご注意」というものまで出して中国にいる日本人に注意を促したほどである。
試合は日本が３対１で勝った。特に後半戦は日本の圧勝であった。
これほど胸のすく思いがしたことは、めったにない。
…あれから３年。今回は東南アジアでの共同開催。
その中国は、予選リーグで敗退した。
イラク、ベトナム、イラン、韓国。
日本、オーストラリア、サウジアラビア、ウズベキスタン。
この８チームで決勝トーナメントが行われる。
今日、日本が勝てば、準決勝の相手はサウジアラビア？
決勝の相手は韓国？ あるいはイラン？
今日のオーストラリア戦を制し、サウジにも勝って、29日の決勝戦にその勇姿を見せてほしい。でもまさか、その日、参議院議員選挙の開票速報の特番のためにテレビ中継はなし…というようなことは絶対にないだろうな。たのんまっせ、テレビ局。
いや、まあ、そんなことよりも、今日の試合の勝利が先決だよね。
たのんまっせ、日本代表。
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