2007-01-01から1年間の記事一覧

52 新宿の大将のこと

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第52回 9日間いっしょに走った「大将」のこと 西島さん、という。 一緒に走っている大将の本名である。 年齢は、25歳だと聞いたような気がする。 もう少し、若かったかも知れない。 東京の新宿で、寮生活をしながら働いていた…

51 下北無情・有情…?  

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第51回 下北ユースホステルは満員で断られ… この日は、恐山から横浜というところまで走った。 8月3日。 どしゃ降りの雨に散々な目に遭わされた僕たちは、テントをたたんで、新しい一日の始まりになんとか気持を奮い立たせよ…

50 恐怖の恐山

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第50回 恐山での1泊は 文字通り 「恐怖の夜」 であった 恐山…。 死者の霊が集まる山…。 一人なら絶対に来なかった場所である。 宇曽利湖は、ひっそりと静まり返った美しい湖だった。 だが、それをとりまく周囲一面は、異様な…

49 田名部から恐山へ

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第49回 大間崎を出発。田名部から急坂を上って恐山へ 翌8月2日。 函館から来るフェリーに、ひょっとして由見子嬢が乗っているのではないか…。そんな期待を持っていたが、昨夕の便にも、今朝の便にも乗っていなかった。日程的…

48 下北半島

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第47回 函館からフェリーで下北半島の大間崎へ行く 7月1日に北海道へ入り、きょう8月1日、北海道を出る。 函館から、青森県下北半島の大間までフェリーに乗る。 その名も、大間ー函館国道フェリー。 いよいよ本州に戻れる……

47 函館の1日

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第47回 大将と函館の街をあちらこちらと… 函館、朝市の光景 7月31日。早朝から、自転車を押して市内をブラブラと歩いた。 「なんだか、ずいぶん活気があるじゃねぇか」 朝市へ行くと、大将がものめずらしそうにそう言って、あ…

46 再び函館へ

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第46回 ヒッチ好きの大将と、またトラックで函館へ 再び函館へ帰ってきた。 今度は新宿の大将と二人連れだ。 大将と僕の2人とも、このやたらに広く雄大な北海道の道路を、自転車でコツコツ進んで行こうという殊勝な心がけは、…

45 苫小牧へ2人旅

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第45回 新宿の大将と2人、西へ西へと向かうのだが… 新宿の大将。ごらんのとおりの精悍。しかし… 自転車よりも、車の方が好き。ヒッチ好きである。 トラックに自転車ごと乗せてもらう。 ヒッチに成功したとき、大将は上機嫌だ…

44 襟裳岬

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第44回 襟裳岬に到着したが、宿は満員で… 31キロにわたる雨中の「黄金道路」を走り通した大将とねずみ男と僕は、夕方、ようやくえりも町に入り、襟裳岬にたどり着いた。身体も自転車も荷物も、何もかもが泥んこになっていた。 …

43 “黄金道路” を走る

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第43回 帯広から襟裳岬へ、どしゃぶりの雨の中を… 帯広畜産大学で一夜を過ごした新宿の大将とねずみ男と僕の3人は、今日は襟裳岬へ向かうことになっていた。帯広市から広尾町を通って、太平洋沿岸の道路を襟裳岬まで走るのは…

42 帯広駅で会った2人

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第42回 帯広駅で「大将」と「ねずみ男」とに会う 糠平で失意の底に沈んだ僕は、ペダルを踏む足取りも重く、食傷気味ともなってきた北海道の広大な風景に取り囲まれながら、何とか気を取り直して帯広までたどり着いた。 帯広駅…

41 糠平の大誤算

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第41回 「約束の場所」糠平へ行ってはみたものの… 足寄を通過して、僕は糠平に向かった。 糠平というところは、あまり知られてはいないけれど、糠平ダムの発電用貯水池である糠平湖という人造湖があり、まわりは原始林に囲まれ…

40 阿寒湖の風

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第40回 阿寒湖で知り合った女子大生2人と… 1969年7月24日。 バスに乗って摩周湖へ向かう宿泊客を横目に、一人で阿寒湖へ向かう。国道241号線は阿寒横断道路と呼ばれている。美幌峠も険しかったけれども、この阿寒横断道路も…

39 幻の摩周湖

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第39回 千葉ちゃんとの約束を守れず弟子屈へ 7月23日。 テントをたたんでキャンプ場を後にした僕は、本来の方角である弟子屈、阿寒湖方面ではなく、反対側の中標津方面に向かって走り始めた。理由は、この前の約束を果たすた…

38 美幌峠を越えて

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第38回 網走を出て美幌峠を越え、和琴半島でテント 美 幌 峠へ 7月22日。 網走から美幌へ走り、美幌からは美幌峠へ向かって厳しい上り道が延々と続いてゆく。 美幌峠への道は、これまで出会ったサイクリストたちの話では、お…

37 アポロ11号の月世界着陸 

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第37回 1969年7月21日、人類が初めて月に立つ この日、人類が初めて月へ降り立った (資料写真) この自転車旅行は、6月17日にスタートし、8月25日にゴールした。70日間の旅だった。知床への日帰り旅行から戻ったその夜、古…

36 知床岬

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第36回 汽車に乗って知床へ日帰り旅行… 自転車に乗らずに旅に出るのが、これほど心浮き立つものだとは思わなかった。今日は、古川さんご夫婦が勧めてくれた知床半島日帰りの旅に出かける日である。 僕はバッグひとつ下げただけ…

35 網走の街をめぐる

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第35回 “網走番外地”などを… 翌7月20日。僕は、一司さんと俊ニさん、そして邦子さんの3人に、車で網走市内の見学に連れて行ってもらった。まず、はじめに案内してもらったのが網走刑務所である。 網走、と言えば、誰もが真っ…

34 網走へ 

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第34回 北海道で唯一の 「知り合い」 のいる網走へ… 7月19日。湧別派出所でぐっすり眠った僕は、眠っているうちにすべての疲労が体外へ発散して行ったかのようなすがすがしい朝を迎えた。荒井注に似たおまわりさんがこしらえ…

33 湧別の交番所で1泊

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第33回 交番所で道を聞くと「泊まっていきなさい」とおまわりさんが言った 由見子嬢と僕は、お互いのこれからの旅の無事と一層の健闘を祈り合って、右と左に分かれて出発した。由美子嬢は最北端をめざし、僕は網走をめざす。 …

32 出会いと別れ

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第32回 2泊のキャンプのあと、右と左へ別れて テントのまわりに牛が寄ってくる。 特に好奇心の強そうな1頭が、かなり近づいてきた。 朝になっても雨は降り止まず、ユミちゃんと僕は、テントの中でパンを食べ、お互いのサイン…

日本、サウジに敗れる

ブログの日記には楽しかったことだけを書いておけばいいのだろうけど、今日は書きたくないことを書かなければならない。昨日のサッカーアジア杯準決勝戦である。 日本はこれまで相性が良かったはずのサウジアラビアと戦い、先制されては同点にし、突き放され…

31 オホーツクの浜辺で

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第31回 日本一周女性サイクリストとキャンプ オホーツク海の浜辺にテントを張ったあと、僕とユミちゃんは荷物をテントの中に入れ、軽くなった自転車で幌内の集落まで行き、パンやハムなどの食料を買い込んだ。 食料品店のおじ…

30 女性日本一周自転車旅行

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第30回 女性で日本一周している“ユミちゃん”に会う この日は枝幸町の手前から出発。2人のサイクリストと出会った。 2人目のサイクリストとは、幌内付近で出会い、そこでテントを張った。 7月16日。きょうも代わり映えのしな…

29 オホーツク海

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第29回 人の姿はなく、牛が草を食む風景が続く 日本最北端の宗谷岬を後にして、オホーツクの沿岸を走る。 ほとんどが舗装のない地道である。 道には砂利が敷かれているところも多くあり、そこを無理して走っていくと、ズルッと…

アジア杯・日本4強入り

サッカーアジア杯準々決勝 日本・オーストラリア (7月21日ハノイ) PK戦。 テレビの前の日本中のファンから悲鳴が聞こえてきそうである。 見ていてこれほど胸が押しつぶされそうになる瞬間はない。 「鬼神のGK」川口は、3年経っても健在であった。 1…

きょうオーストラリア戦

〜 サッカーアジア杯準々決勝 〜 「サッカーアジア杯2007」がいよいよ決勝トーナメントに入った。 今日の夜、準々決勝で日本はオーストラリアと対戦する。 ドイツワールド杯で悪夢の大逆転を浴びたあの相手である。 あの試合が…あの逆転負けが…、日本代表に…

28 日本最北端

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第28回 とうとう着いた… 969年7月15日。午前10時。僕は、自転車で、旅の最大の目的地であった宗谷岬へたどり着いた。 6月17日に大阪を出て、北へ北へと自転車をこぎ、 29日目に、ここ日本の最北端の地に到着した。 駐車場に…

27 稚内 (下)

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第27回 稚内市内をぶらぶら。水族館などを… 翌7月14日。札幌の2人は、朝早く、宿を出て行き、帰途についた。 昨日の午後、そして今日の未明から朝にかけて雨が降ったが、幸い、2人が出て行くときには雨は止んでいた。 また…

26 稚内 (上)

自転車の旅 〜 昭和44年 夏 〜 第26回 稚内で一段落。バスで最北端へ行く 稚内の地図を見ると、一番上に野寒布岬というところがある。 ノシャップ岬と読む。 これとよく似た地名に、納沙布岬、というのがある。 ノサップ岬と読む。北海道東端、根室半島の先…